内容紹介
平安末期に大流行した「今様」を集大成し、歌詞集十巻・口伝集十巻、現存すれば五千余首を数え『万葉集』にも匹敵したとされる大歌謡集「梁塵秘抄」。このうち、後白河院が生涯を通しての今様習練、今様の歴史、傀儡女たちとの交流、編纂の意図等を綴った『梁塵秘抄口伝集』こそが主流であった。全訳、懇切な注釈に加え、今様の基礎知識も詳しく解説。
「亡からむあとに人見よ」後白河院畢生の今様語り
平安末期に流行した歌謡の由来と正統の伝え、今様に懸けた人生
平安末期に大流行した「今様」を集大成し、歌詞集十巻・口伝集十巻、現存すれば五千余首を数え『万葉集』にも匹敵したとされる大歌謡集「梁塵秘抄」。このうち、後白河院が生涯を通しての今様習練、今様の歴史、傀儡女たちとの交流、編纂の意図等を綴った『梁塵秘抄口伝集』こそが主流であった。全訳、懇切な注釈に加え、今様の基礎知識も詳しく解説。
「声わざの悲しきことは、我が身崩(かく)れぬるのち、とどまることの無きなり。その故に、亡からむあとに人見よとて、いまだ世に無き今様の口伝を作りおくところなり」今様をきわめたがゆえに気づかざるを得なかった歌謡の本質は、「声わざ」にこそあった。歌えば消えてゆくはかないところに命を紡いでいるという、口承文芸の命のありどころに、院はあらためて思い至っている。ここに満ち満ちているのは、後白河院個人の、「愛執」とも呼ぶべき今様への真摯な想いである。――<本書より>
目次
- 梁塵秘抄口伝集 巻第一
- 1.歌の起源
- 梁塵秘抄口伝集 巻第十
- 1.梁塵秘抄口伝集九巻撰述のこと
- 2.今様の春秋
- 3.さしたる師なかりしかど
- 4.乙前との邂逅
- 5.乙前の今様語り
- 6.乙前の死
- 7.伝えるべき流れ
- 8.後白河院の今様示現譚
- 9.今様による示現――劫の致すところ
- 10.今様の徳
- 11.今様往生論
- 12.結び・奥書――声わざの悲しき
- 13.追記――道成るか
- 14.識語
- <解説> 後白河院と今様
製品情報
製品名 | 梁塵秘抄口伝集 全訳注 |
---|---|
著者名 | 著:馬場 光子 |
発売日 | 2010年06月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,250円(税別) |
ISBN | 978-4-06-291996-8 |
通巻番号 | 1996 |
判型 | A6 |
ページ数 | 432ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |