「大鏡」既刊・関連作品一覧

大鏡

平安朝期、藤原氏栄華の世界の男の生きざまを、男の手によって内部告発的に描き出した異色の歴史文学作品。叙述は紀伝体であるがそれが却って登場人物の性格を特徴的に捉え、あざやかな人物像を照し出し、四人の話者の語り口と相まって、歴史の見方のとかく片寄りがちな弊を巧みに避け得て、謀略的事件の真相を伝えている。歴史の鏡に写る当代一七六年間の登場者にあびせる真実と讃美と批判のはざまに、和泉式部紫式部も顔を出す。