内容紹介
明治以降、夥しい数の日本人論が刊行されてきた。『武士道』『菊と刀』『「甘え」の構造』などの本はなぜ書かれ、読まれ、そして好評を博すのか。そこには、私たちを繰り返し襲う「不安」がある。欧米文明に遭遇し、戸惑う近代日本人のアイデンティティの不安の在処を抉り出す。本書は、日本人論の総決算であり、150年間の近代日本の物語でもある。(講談社学術文庫)
2000冊を超える「日本人論」を総括する。明治以降、近代化の中で、原理的アイデンティティ不安に苛まれた日本人は数多の「論」を紡ぎ出した。時代の空気が生んだ「論」を検証し、日本人の無意識を探る。
目次
- はじめに
- 第一部 「日本人論」の不安
- 第一章 「日本人論」が必要であった理由
- 日本について考えるとは「比較」すること/日本の三つのモデル/江戸時代の「外国」/他
- 第二章 「富国強兵」──日清・日露の高揚期
- 四冊の日本人論/書いた四人/『日本風景論』/『代表的日本人』/他
- 第三章 「近代の孤児」──昭和のだらだら坂
- その後の四人/「日本人論」が必要とされなかった時期/他
- 第二部 「日本人論」の中の日本人たち
- 第四章 臣民──昭和憲法による民主主義的臣民
- 短いまえがき/戦後最初の日本人論/「しかしまた」と「ふさわしい位置」/他
- 第五章 国民──明治憲法による天皇の国民
- 滅びる日本を憂うこと/「国民」の前身としての幕末浪士/他
- 第六章 「市民」──タテ社会と世間
- 日本人が生きている世界/「兎角に人の世は住みにくい」/他
- 第七章 職人──もの言わず、もの作る
- 日本人は職人/職人とは「生き方」/「工夫」がだいじ/一九六〇年代の変容
- 第八章 母とゲイシャ──ケアする女たち
- 『「甘え」の構造』のいま/「甘え」はよいのか悪いのか/他
- 第九章 サムライとサラリーマン──文と武の男たち
- 「高貴な野蛮人」としての武士/乃木将軍と『武士道』/いまに生きるモデル/武士からサラリーマンへの変容/他
- 第十章 「人間」──すべてを取り去って残るもの
- 「人間」という名の日本人/ユダヤ人とのコントラスト/他
- 第三部 これからの日本人論
- 第十一章 これまでに日本人論が果たした役割
- 三つの時期の日本人論の果たした役割/積極的で対外的な第一の時期/防衛的で、内向的な第二の時期/他
- 第十二章 これからの日本人と日本人論
- 「日本人論」が必要でなくなるとしたら/他
- 参考文献
- 「日本人論」関連年表(太字は「日本人論」に関わる著作)
- あとがき
- 学術文庫版へのあとがき 『「日本人論」再考』、その後
製品情報
製品名 | 「日本人論」再考 |
---|---|
著者名 | 著:船曳 建夫 |
発売日 | 2010年04月13日 |
価格 | 定価 : 本体1,130円(税別) |
ISBN | 978-4-06-291990-6 |
通巻番号 | 1990 |
判型 | A6 |
ページ数 | 352ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
初出 | 原本は2003年、日本放送出版協会から刊行された。 |