内容紹介
なぜキリスト教信者ではない日本人にとっても、クリスマスは特別行事になっているのか? それは実は、力で押してくるキリスト教文化の厄介な侵入を――彼らを怒らせることなく――防ぎ、やり過ごしていくための、「日本人ならではの知恵」だった! 「恋人たちが愛し合うクリスマス」という逸脱も、その「知恵」の延長線上にあったのだ――キリスト教伝来500年史から、極上の「日本史ミステリー」を読み解こう!
あなたは、ふしぎに思ったことがないだろうか?
「なぜ日本人は、キリスト教信者でもないのに、クリスマスを特別行事と見なして、毎年毎年、あんなに大騒ぎするんだろう?」
本書は、「日本におけるクリスマス祝祭の歴史」を丹念に追いながら、この謎に迫ってゆくスリリングな教養書である。1549年のキリスト教伝来から始まる「降誕祭」の様子を、史料から細かく辿っていった。
実際に辿ってみると、「クリスマスにおける狂瀾」は、明治時代から始まったことがわかる。現在の、「恋人たちのクリスマス」は、明治の馬鹿騒ぎの流れの末にある、と考えられるのだ。そしてその、恋人たちのクリスマスのルーツは、実は、日露戦争の勝利にあることにも気づくだろう。
本書を読み進めるとやがて、「日本のクリスマス大騒ぎ」というものが、力で押してくるキリスト教文化の厄介な侵入を――彼らを怒らせることなく――防ぎ、やり過ごしていくための、「日本人ならではの知恵」だったのか! と納得するであろう。「恋人たちのクリスマス」という逸脱も、その「知恵」の延長線上にあったのである。
さあ、キリスト教伝来500年史を辿り、クリスマスをめぐる極上の「日本史ミステリー」を味わってみましょう。
<目次>
序 火あぶりにされたサンタクロース
1章 なぜ12月25日になったのか
2章 戦国日本のまじめなクリスマス
3章 隠れた人と流された人の江戸クリスマス
4章 明治新政府はキリスト教を許さない
5章 「他者の物珍しい祭り」だった明治前期
6章 クリスマス馬鹿騒ぎは1906年から始まった
7章 どんどん華やかになってゆく大正年間
8章 クリスマスイブを踊り抜く昭和初期
9章 戦時下の日本人はクリスマスをどう過ごしたか
10章 敗戦国日本は、狂瀾する
11章 戦前の騒ぎを語らぬふしぎ
12章 高度成長期の男たちは、家に帰っていった
13章 1970年代、鎮まる男、跳ねる女
14章 恋する男は「ロマンチック」を強いられる
15章 ロマンチック戦線から離脱する若者たち
終章 日本とキリスト教はそれぞれを侵さない
目次
- 序 火あぶりにされたサンタクロース
- レヴィ=ストロースの見解/資本主義的クリスマスのアイコン ほか
- 1章 なぜ12月25日になったのか
- いつ生まれたかはわからない/テオドシウスははめられた ほか
- 2章 戦国日本のまじめなクリスマス
- ザビエルの布教/京都での布教活動/信長と秀吉の教え ほか
- 3章 隠れた人と流された人の江戸クリスマス
- 鎖国の真実/漂流者たちの見聞 ほか
- 4章 明治新政府はキリスト教を許さない
- あくまで黙許/大日本帝国憲法28条の真意 ほか
- 5章 「他者の物珍しい祭り」だった明治前期
- 神田祭のような気持ちで/千人にのし餅を配る
- 6章 クリスマス馬鹿騒ぎは1906年から始まった
- 少女作家のクリスマス小説/教会での軍歌/余興に落語や講談 ほか
- 7章 どんどん華やかになってゆく大正年間
- 日光東照宮の飾りの中に/クリスマス休戦
- 8章 クリスマスイブを踊り抜く昭和初期
- クリスマスの夜に汚物をまく/満州事変くらいでは熱狂はおさまらない ほか
- 9章 戦時下の日本人はクリスマスをどう過ごしたか
- 8年間の異様な時期/警視庁の取り締まり宣言/「小癪なXマスの贈物」 ほか
- 10章 敗戦国日本は、狂瀾する
- 明確な乱痴気騒ぎ/天声人語の苦言/「一夜あければ『よごれし、この朝』」 ほか
- 11章 戦前の騒ぎを語らぬふしぎ
- ひとつの人格の裏表/キリスト教徒ではないから、騒ぐ ほか
- 12章 高度成長期の男たちは、家に帰っていった
- ホームクリスマスが盛んに/イブに起きた新宿ツリー爆弾事件 ほか
- 13章 1970年代、鎮まる男、跳ねる女
- 消費の主体は男性から女性へ/子供向けイベントへの収束 ほか
- 14章 恋する男は「ロマンチック」を強いられる
- 「アンノン族」の登場と新しい消費/「キラキラした部分」が好き ほか
- 15章 ロマンチック戦線から離脱する若者たち
- クリスマス・ファシズム/騒ぎの鎮静化とハロウィン ほか
- 終章 日本とキリスト教はそれぞれを侵さない
製品情報
製品名 | 愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか |
---|---|
著者名 | 著:堀井 憲一郎 |
発売日 | 2017年10月18日 |
価格 | 定価:924円(本体840円) |
ISBN | 978-4-06-288401-3 |
通巻番号 | 2401 |
判型 | 新書 |
ページ数 | 256ページ |
シリーズ | 講談社現代新書 |
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