「暇だな-。」
梅雨に入り、自称「神様」のハルが颯月にからんできた。颯月がもっている鈴といっしょに、外に連れ出してくれという。
「そんなに暇なら、お祭りの準備でも見てくれば?」と颯月が言うと、ハルはおびえたように震えあがり、その場から消えてしまった。
そのお祭りとは、6月最後の土曜日に上埜神社で行われる、「夏越の大祓」。人形を燃やして、穢れを転移させるという、地元の人々の特別な行事だ。
ハルのおびえように、疑問を感じる颯月。そうして祭りが近づいたある日の深夜、颯月の耳に祭囃子のような笛の音が聴こえてきた。
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