武人の栄光か、仏の道か――己の存念を貫くのが、強い男というものだ。 一門随一の俊英・北条氏舜(うじきよ)にとって、小田原合戦での戦いは、苦悩の日々でもあった。 気鋭が放つ異色の歴史長編 安房里見家から送られてきた人質・青蓮尼の姿に、俊英と謳われた玉縄北条家の若き当主・北条氏舜は息をのんだ。関東全域を巻き込んだ小田原合戦は、氏舜を否応なく武人の道、修羅の道に引きずり込むが、仏門に憧れる氏舜は、青蓮尼への想いを抱きつつ、悩み、戦い……やがて悲劇が唐突に訪れる。