記憶が嘘をついたのか 冬の大地に埋めたはずの事件。 赤いコートの女が、封印された過去へ男を誘う。 気鋭の長編サスペンス! 札幌を離れて17年経った今、再びここで暮らすことを決意して戻ってきた。 雪が深い。この一帯は原生林に近い混交林が続いている。雪を冠した木立の向こうに、楡の巨木が見えている。 あるべきものがそこにある。たったそれだけのことが、実に大きな慰めに、あるいは励ましになる。――(本文より)