驚異的な力量をもった新人の登場。木枯し紋次郎以降に初めて現れた次世代股旅物の傑作。 幕末の激動期を駆け抜けた清水次郎長一家の喧嘩犬・小政の壮絶な生涯 驚異的な力量をもった新人の登場である。デビュー作『からくり乱れ蝶』、2作目『まやかし草紙』に続く本書『空っ風』は、清水次郎長一家の小政を主人公に、幕末の激動期を駆け抜けた男の生きざまを活写。硬質な詩情が漂う文体で、木枯し紋次郎以降に初めて現われた次世代股旅物の傑作である。――文芸評論家・菊池仁