関口苑生氏[文芸評論家]絶賛! “性”の描写は、現代文学に残された最後の未開拓地だと言われて久しい。事実、かつては慣習のタブーを破る形での性が一般的であったのに対し、現代は慣習を突き抜けたところで新しい生き方の選択として表現されているようにも思われる。だが、性の地平の開拓者である勝目梓は、本書でさらにそのもう一歩先の領域に挑んでみせた。ここに描かれるのは、性器の結合を伴う性交とは別の形の、情愛の極みから生まれる躯の交わりなのである。本書において、勝目梓は生と性の極限を見事に抽出したと言えよう。わたしは心底から震えた。恐るべきはこの作者の描写力だ。
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