第17回野間文芸新人賞受賞! 故郷に生かされる。生きていく孤独は抱えながらも故郷に根を下ろそうとする人間の力強い生命力を描く作品集 廃坑の町を棄て、人を不幸にした負い目を抱きながら少年は都会に出ていった。いま中年になって、生きていく孤独は癒えない。故郷の土地の匂い、山の息吹が無性に懐しい。呼び戻されるように帰った故郷は、しかし逞しい変貌の中にあった。その活力を受けて、帰郷者はこの地に根を下ろし始める。