武勇の大連(おおむらじ)(神祗派)物部守屋VS.智謀の大臣(崇仏派)蘇我馬子
遂に物部・蘇我合戦に突入。黒岩古代史小説の醍醐味!
仏殿には焼け残った仏像が転がっている。見るも無惨で、木像の方は人間と同じように焼け爛れ、銅の仏像は変色し、黝(くろ)ずんでいた。「後日、海に捨てるぞ、さあ、石川に行く、佐伯造御室(さえきのみやつこみむろ)、今から石川の仏殿に仕えている尼達を捕える」守屋達一行は石川に向った。守屋が昂奮しているのは、たんに仏塔や仏殿を焼いたからだけではない。日羅(にちら)を殺した馬子に会い、面罵出来るからだ。怒鳴り殺してやろう、と守屋は胸を弾ませた。――(本文より)
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