武勇の大連(おおむらじ)(神祗派)物部守屋VS.智謀の大臣(崇仏派)蘇我馬子
益々熾烈化する2人の対立。黒岩古代史小説の新境地!
大王が、仏教といえば大臣、と結びつけているなら、大王をたきつけ、大臣の権力を圧(お)さえるべきだ、と矢鳴姫は、いい始めた。守屋は唖然としたように矢鳴姫を見た。気の強い女人だ、と今更のように感心した。だが不愉快にならないのは、守屋が姫を愛しているからだった。それに守屋は矢鳴姫の忠告に同感するものがあったからである。口にはしていないが、それは馬子を圧さえるための守屋の武器だ。守屋はそのことを充分承知していた。――(本文より)
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