内容紹介
今日、昭和が終った。天皇崩御のニュースをきいて、近くの御用邸に記帳に出かけた。昭和に生まれた私は、私の時代が終わってしまったような気がした。元新聞記者の私は、10歳年下の共同生活者・真子と葉山に暮らし、四季を楽しんでいる。しかし、さまざまに形をかえて潮だまりが出現するように、二人の間にわだかまりがないわけではない。戦時下に生まれ、戦後を生きる男と女を静かに描く、野間文芸賞受賞作。
〇松田哲夫 戦争と天皇にまつわる思い出が、時には烈しく、時には静かに、登場人物に押し寄せてくる。高井さんは、決して声高に歴史や政治にもの申すわけではない。しかし、ここに刻み込まれた言葉は、ぼくたち読者の心にズシリと重くのしかかってくる。そういう意味では、戦争の時代をとらえた、優れた歴史小説だと言ってもさしつかえないだろう。――<「解説」より>
製品情報
製品名 | 時の潮 |
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著者名 | 著:高井 有一 |
発売日 | 2007年05月12日 |
価格 | 定価 : 本体1,400円(税別) |
ISBN | 978-4-06-198476-9 |
判型 | A6 |
ページ数 | 400ページ |
シリーズ | 講談社文芸文庫 |
初出 | 『群像』’01年1月号~’02年4月号連載。講談社刊『時の潮』(’02年8月)を底本とし、新仮名遣いに改める。 |