制度化された宗教を超えて、人間の根源へ。
「日本人にとってのキリスト教」を終生のテーマとして、『海と毒薬』『沈黙』『死海のほとり』『侍』『深い河』等の話題作を生み出してきた遠藤周作。キリスト教文学研究の泰斗・佐藤泰正を聞き手に、満州での幼年期、母の存在と受洗、フランス留学時代をはじめとして、自らの文学を形成してきた体験のすべてを語り、慈愛に満ちた人生の同伴者としてのキリストという独自の到達点を提示する。
遠藤周作
信仰ということばはあまり好きじゃなくて信頼といったほうが私は好きなんですが、大きなものに対する信頼。その信頼感というのが、多少昔に比べて深くなってきました。人間が出すどんな音にも、神はそれに応じて音を出してくれるという信頼です。(中略)どんなものに対しても、神につながる道になるという信頼感が理由なく私の心のなかにできあがってきた。(中略)そこには絶望ではなくてひとつの光が向こうから見えているんだという自信があった。――<「本書」より>
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