昭和16年、陸軍徴用員として従軍した著者は翌年2月シンガポールに入り、昭南タイムズ、昭南日本学園等に勤務。市内の一家族の動向を丹念に描いた長閑で滑稽で奇妙に平和な戦時中の異色作「花の町」をはじめ、「軍歌『戦友』」「昭南タイムズ発刊の頃」「シンガポールで見た藤田嗣治」「或る少女の戦時日記」「悪夢」など、この体験に関わる文業を集成、9篇収録。