名著、復刊。 石田博士は、長安の都、ならびにその時代に生きた人々の生活を、みごとに再現してみせてくださった最初の学者である。私は『天平の甍(いらか)』、『楊貴妃伝』その他何篇か、唐時代の長安を取り扱った小説を書いているが、いつも「長安の春」の恩恵を蒙ること大なるものがある。私にとって、この本は辞書であり、参考書であり、そしてそれ以上に、長安を書く場合に座右からはなすことのできない護符のようなものである。――(井上靖氏解説より)