本書は『講談社基礎物理学シリーズ』の第3巻であり、熱力学という物理学分野を詳説するものです。 熱力学とは、熱と温度が物質にどう関わるかを研究する、18~19 世紀に確立された学問です。なぜ熱い空気は膨らむのか、といった古典的な問題から始まり、気体の膨張からどれだけのエネルギーが利用できるのかという探求が、蒸気機関の開発ひいては産業革命の原動力となりました。そして、熱がどのように物質に作用するかを探ることで、現代の様々な新しい物質の振る舞いを知ることができます。 しかし、熱力学は数式が抽象的でわかりにくいことで物理の中でも特に初学者に不評な科目です。本書は、熱力学に初めて触れる初学者を念頭に置いて、熱力学に出現するいろいろな物理量や基本法則を理解できるようにした教科書です。概念の詳しい説明はもちろんのこと、例題を活用してできるだけ数式の物理的意味を習得してもらえるようになっています。
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