これさえあれば、何もいらない
探索の旅、広がりと深まり。「新しい微積分」の頂きに向かって
・下巻では、2変数関数の微積分、ベクトル場の微積分、偏微分方程式を扱い、最後に理論的側面を解説。
・理論的側面については、素朴な発想からステップバイステップで意味がつかめるように工夫した。
・現代数学への確かな一歩を踏み出そう!
【本書“あとがき”より 長岡亮介】
まえがきでは書くことを躊躇した我々の不遜な野心をあとがきの気楽さでここに吐露させていただこう.それは,そのような若者の実情を座視してきた大人世代の責任として,『現代の若者のための新しい解析概論』を目指して,微積分学を語ろうとしたということである.まえがきに述べたことをさらに明確に述べれば,次のようになる.
・厳密な論理の上に構築される解析学の理想を遠くに見据え,しかし,論理的厳密性を金科玉条のごとく振りかざすのではなく,まずは,細かい論理的な証明は後回しにして,その必要性がやがて自然に納得できるように,現代微積分の必須技法の基礎知識を,かつてニュートンやオイラーが発見してきたような素朴な発想で叙述し,
・一方で,最近の数学教育では等閑視されがちな自然科学,特に物理学と微積分との密接な関係をオイラーやフーリエのように強調し,
・最後に,コーシーやワイエルシュトラスのように,それまでの歴史で積み残されてきた概念と定理に対し論理的基礎付けを与える
このようなスタイルで,微積分学を 1 つの《物語り》として,個々の概念や定理の《意味》を理解してもらえるように語ろうと努めたのは,著者たちが『解析概論』を通じて学んだ高木先生の教えを現代風に実践しようとしたからである. 本書が,若い人々の間に『解析概論』の愛読者が増えるきっかけとなればこの上なく光栄である.
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