一人ひとりが「独立」しながら、組織の一員でもある裁判官。最高裁以下のピラミッドの中で、彼らはいかに判決を作るのか。その誕生・教育から勤務評価まで、霧につつまれたエリート達の素顔に迫る。
裁判官の日常生活――裁判審の日常の生活は平均的には午前9時半ごろ裁判所に出勤、午後5時すぎ退庁だ。法廷の審理と事件記録の検討が主な仕事。法廷はだいだい午前10時から。昼休みをはさんで午後3時すぎには閉廷する。……裁判所への通勤には2、3人ずつ乗り合いの自動車がある。地方では自転車で通勤する裁判官もいるが、車が使用されるのは、裁判記録を自宅に持ち帰り検討することもあるからだ。…… 裁判所への出勤が原則だが、宅調日もある。この日は公舎など自宅で記録を調べる。戦前からある制度だ。多くの地裁では、いまの合同庁舎ができるまでは裁判官2人に1つしか机がなく、引き出しを左右に分けて共同使用し、落ち着いて仕事ができる雰囲気に欠けていた。このため宅調日のほうが仕事がはかどるという裁判官がいたほど。いまはほぼ1人ずつ机があるが、どこの地裁も1週間に1日、宅調日をおいている。――本書より
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