イスラーム国エジプトには総人口の10パーセント強のキリスト教徒=コプトの人たちが住んでいる。少数派コプトの歴史と文化を浮き彫りにし、神の啓示という共通の根を持ちながら対立のみが目立つ両教の相互理解の道を、エジプトの人々との交流をふまえ考察する。
モーセの山、シナイ山──まわりのシナイ連山を瞼にやきつけながら一歩一歩踏みしめていくと、岩肌に朱色のサリーブ(十字架)と白色の“アッラー・アクバル”(偉大なる神)の文字が並べて記されてあるのにでくわした。実に感動的であった。このガバル・ムーサ(モーセの山=シナイ山)を一歩一歩時間をかけて登っていくことの大きな意味の1つは、とくにユダヤ教徒、クリスチャン、モスレムたちがモーセにまで立ち返ることになれば、皆は充分一体感が持てるようになることを身をもって体感していくところにあると言えよう。──本書より
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