預金量世界上位を独占する日本の巨大銀行群。強大な経済支配力、徹底した秘密主義、カネ・人・情報のパワー、証券との死闘、そして厖大な含み資産と不良債権――。日本資本主義を育成した金融の王者たちの光と影を内部から克明に描く。
床柱を背にした銀行――企業は銀行の機嫌を損じてはいけない。そこで、貸付部門の人々や、審査担当の幹部役員などに豪華な宴席や、盆暮れの高価な贈答品提供などの接待攻勢をかけた。「床柱を背にした銀行」と揶揄(やゆ)された光景であった。……諸産業の君臨し、一段と高いところから企業経営の隅々まで関与し、不満足であれば賃金を減らし、時に役員を派遣する。古典的金融理論でいうところの「独占金融資本の産業支配構造」そのものの風景であった。「石橋を叩いて他人に渡らせて自分は渡らない」のが銀行の本質で、「貸渋り」はいま始まったわけではなく、「雨が降ったら傘は取り上げる」のが、わが国の銀行の深層心理に定着していて、そう簡単には変わらない。いまでは、資本市場があるので大企業の銀行依存度は弱まったものの、市況が悪ければ増資や債券発行が難しくなる。やはり銀行に逃げられたら困る。まして中小企業は銀行に頼るしかない。いざとなったら銀行様なのである。――本書より
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