一刻を争う救命救急医療から、ターミナルケアまで、医療の最前線で生命の尊厳と向きあう看護婦たち。深夜勤務、密度の濃い労働、恵まれない待遇など、知られざる看護の実態と、揺れ動く医療制度にメスを入れ、よりよき看護と介護のあり方をさぐる現場からの報告。
「よい看護」とは――「自分の問題」として看護を受けとめてみる時、いま一度、私たちは看護の内容を何も知らず、また知らされてこなかったことに気がつくのである。看護婦さんたちは、どんな現場で具体的に何をしているのか。患者は、どんなことをしてもらえるのか。患者の側も、それをイメージとしてつかんで、世の中に声を出してもいいのではないか、と思った。と言いつつ、私たちはイメージをつくり出すための資料をほとんど持っていない。知らされてこなかった、と言ってよい。ここまで考えて、私は、とにかく看護の現場を歩いてみようと思い立った……。いわば、「よい看護」探しである。「よい看護」ができる条件はなんなのか。看護婦さんたちが「よい」と思うことは、患者にとっても「よい」ものであるのか。そして「悪い看護」と言われるところに横たわる事情はなんなのか。とにかく、現場に立ち、考えてみることにしてみた。――本書より
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