過熱しない英国式受験のシステムを分析し、エリート生産装置パブリック・スクールの支配の秘密とその変容を解読。 英国エリートの本流=パブリック・スクール人――こうしてみてくると、英国のほうが日本よりはるかに学歴の社会的地位規定力が大きい学歴社会にみえる。またわれわれ日本人にはパブリック・スクールは灘や開成のような六年制進学私立校に、オックスブリッジは東大や京大にみえてくる。だとしたら、なぜ英国で日本のようなはげしい受験競争がおこらないのだろうか。パブリック・スクール、オックスブリッジへむけてのわれもわれもの入学競争がおきないのか。むろん英国でもパブリック・スクールや大学受験はそれなりに深刻ではある。大学受験のための受験予備校に似た学校もある。だがこうした予備校も夏は休暇でのんびりムードだ。日本のような過熱状態にはない。不思議になってくる。――本書より