『スティット・パウエル&J.J.』――パウエル天才の気迫。『ナウズ・ザ・タイム』――パーカー枯淡の境地。ジャズを聴き、ジャズに惚れればあとは一直線。練り上げられた豊かな音の深みにはまりこむ。入門から中毒へ、お薦めの名演・名盤を紹介。
チャーリー・パーカー――まず、彼らの音楽を雰囲気で聴いてはいけない。パーカーの絶頂期と言われる、40年代半ばから末にかけての録音は、今日のデジタル録音と違い、様々な楽器の音色がブレンドされ、一丸となって襲ってくるようなところがある。だからぼんやりしていると、どの音がパーカーの吹いたものかもわからず、全体を漠然とした印象でしか捉えられなくなる。これでは、天才の技もアドリブの冴えもあったものではない。(中略)パーカーの吹いた音はどれなのか。このごく当たり前のところを押さえるのが、まず先決だ。それにはパーカー以外に紛らわしい音色のホーン奏者の加わっていないアルバムを繰り返し聴き、彼の音色、フレージングの特徴をつかんでしまう。50年代に入ってからのヴァーブの作品に、この目的にぴったりのものがある。「チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス」と「ナウズ・ザ・タイズ」だ。――本書より
+ もっとみる