身を焦がす恋。他人の眼を避ける愛。一目惚れ・片想いから三角関係・心中まで、自由と束縛のなかで、恋愛は男と女を狂わせる。映画、小説、演劇などをとおし、マニュアルでは決して事の運ばない不思議な感情の森に誘う。恋愛という人生の「事件」を鮮かに抉った快著。
いまこそ、恋愛の時代――「恋愛」とは、ハンパな行為ではない。一つ間違えば、死ぬか生きるかという問題にまで発展する。「暇つぶし」だとか、自分の寂しさを紛らわすための「ゲーム」だと侮ると、大怪我をする。この感情が高揚すると、自分の力だけでは思うようにコントロールできなくなるからである。「魔に憑かれた」としか説明できないことも多々起こるのだ。さらに、つきつめれば、当事者たちの人間そのものの完成度が問われることにもなりかねない。だから恋愛は怖いのである。いま改めて「大恋愛」について考えるのは、昔に帰れと言うためではないのである。むしろ、いまこそ、恋愛の時代だと、ぼくには思えるからである。「大恋愛」に強く憧れて、過去の「恋愛」について、考えてみたくなったのである。――本書より
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