大平原を大陸横断鉄道がつらぬき、ゆたかな資源と市場をバックに、史上最強の産業帝国へ躍りあがるアメリカ。やがてくる「暗黒の木曜日(ブラック・サーズデイ)」の影をはらむ、繁栄と保守と享楽の時代を描く。 都市住民の娯楽と文化――この時代にはまたマス・メディアがかつてないほど発達した。新しいジャーナリズムの父がジョーゼフ・ピューリッツァーだった。……彼は、災害、スキャンダル、スポーツの記事で紙面を満たし、センセーシーナルな見出しをつけた。漫画を連載し、黄色で印刷したので、このような新聞を「イェロウ・ジヤーナリズム」というようになった。そしてウィリアム・ランドルフ・ハーストが、……ピューリッツァーに対抗することになる。オーソン・ウェルズの映画『市民ケーン』のモデルである。都市を基盤とした大衆消費・大衆文化の時代は、すぐそこまで来ていたのである。――本書より