60兆円にのぼる国家予算をにぎり官界の頂点に君臨する大蔵省。主計局のパワー、主税局の頭脳、そして巧妙な他省庁コントロール。自民党とのすさまじい確執をくりかえすエリートたちの権力の城を内部から克明にえがく。
われら富士山、ほかは並びの山――大蔵省は政府行政機関の一つにすぎないにもかかわらず、「官庁の中の官庁」とよばれる。そして、大蔵官僚たらは長らく「同輩中の首席(プリムス・インテル・パレス)」として、霞が関の他の省庁の同僚たちの上に君臨してきた。彼らは後輩たちにこういってきかせる。「君たちは並の官僚とはちがうんだ」と。やがて後輩たちもまた「天下の大蔵省」「われら富士山、ほかは並びの山」という意識をもつようになる。もちろん、「各省庁にはそれぞれの役割があって、大蔵省もその一つにすぎない。いまどき、われら富士山、なんていっているのは田舎からでてきた人だ」(大蔵省某課長)と否定する声もあるが、大蔵省のもつ権限の絶大さ、それに由来する大蔵官僚たちの強烈な特権意識はまぎれもない事実である。――本書より
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