古代史研究のパラダイム変革を求め、数理文献学に基づいたユニークな方法論で邪馬台国の謎に挑戦。《卑弥呼=天照大御神》《邪馬台国=高天の原=北九州》という大担な仮説で一石を投ずる。
仮説の設定と検証――「邪馬台国問題をとく」とは、結局、邪馬台国問題について、もっとも矛盾がすくない、あるいは、「ほとんど矛盾のない」説明体系を構築することにほかならない。そのような説明体系は、仮説の設定とその検証という過程をとおしてのみ構築されるものである。どのように確実にみえる理論体系も、結局は、ひとつの仮説体系にすぎない。そのことは、対象が、自然科学、社会科学、人文科学のいずれの分野に属するものであるかを問わない。19世紀的文献批判学がみちびきだした結果も、また、ひとつの仮説である。したがって、それにたいする疑問や、その仮説とはあいいれないような事実が指摘されたばあいには、それらが、その仮説の基礎をゆるがすものであるのか、それとも、その仮説の範囲内で、説明がつくものであるのかが、検討されなければならない。――本書より
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