几帳面なビジネスマンの不可解な無断欠勤。昇進をまえにしての失踪。優秀な学生の長期留年。無気力な現実逃避……。これまでの神経症にはない“奇妙な心の病”がふえている。何が彼らをそうさせるのか?隠された心のダイナミックスに分析のメスを入れる。
新しいタイプのノイローゼ――勇敢だった人の退却。元気だった入の無気力。真面目人間におこる不真面目――そういう逆説の目立つこのノイローゼ、たぶん昔もあったのだろうが、少なくとも正面きっては取り上げられなかった。ひと昔前なら、たぶん“怠け者”として一括され、それでおしまいだったのかもしれない。ひと昔前どころか、今でもそうかもしれない。精神科医でもまだこういう不適応状態をみたことがないという人が少なからずいるはずである。それはその精神科医の責任ではない。この神経症の人は、一般的にいって、自分から積極的な治療を求めて医師やカウンセラーを訪れないからである。――本書より
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