鳥葬と近親婚。火と闇の宗教。アフラ・マズダーとアンラ・マンユの徹底した善悪二元論の展開。神秘の宗教・ゾロアスター教の秘儀と思想を解説しつつ、現代思想に与えた影響をさぐる。
「善の戦士」への加入儀式―――我々人間が、アフラ・マズダーにより創造されたものであるとする信仰は、ゾロアスター教徒にとり、どのような意味をもつのであろうか。それは、入間の本性が善であることを証すにとどまらない。さらに、人間はアフラ・マズダーの軍団に参加し、悪と戦わなくてはならない。なぜなら、アフラ・マズダーの創造は、アンラ・マンユに対抗してなされたのであり、それにより世界から悪を放逐し、善を完全とすることにあったのだから。ゾロアスター教徒の共同体に正式に加入を認められるには、ナオジョテと称される儀式を受ける必要がある。これは、アーリア人の古い伝統に基づくものとされ、バラモン教の入門式に対応する。そして現在では、もっぱら教徒の子弟に限って行われ、異教徒や外国人には許されない。また、15歳になるまでに、この儀式を受けなくてはならない。――本書より
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