嵐と颪とはどう違う?紅と朱と茜では?日本語の微妙な二ュユアンスに分け入り、味わい、失語症時代の言語生活を、ブラッシュアップする。 花――生命のほとばしり もともと「はな」とは、生命の根源である“ものの精髄”がその先端からほとばしり出た命の形象化だ。だから「はな」は時に物の先端を意味し、また、その先端の尖った形(鼻)にも言う。「はなから信じない」と言うあの端もこれだ。茎や枝の先に広がり彩る花も、草木の先端につくものという点で「はな」に違いない。……日本語が意味する「はな」(華)は、ただの「花」とは違う。もっと壮大で、崇高で、造化の神の手になる美と真実の極限とでも言おうか。いや、真の華の精神とは「言わぬが花」なのである。――本書より