――祭りの打ち上げの料亭で。「お膳は喧嘩の前に出しますか、後に出しますか」―――転んで起き上がったら、また転んだ。「いまいましい。起きるんじゃなかった」レトリックやメタファーの分析で見えてくる、「〈私〉とは」「存在とは」「時間とは?」ジョークは人間真理の哲学である。
ぐうたらの哲学――「夜、小用に起きて戸を開けようとしたが、宵からの雪で凍りついて開かない。いいことがある。敷居の溝に小便をかけると、滑らかに戸が開いた。外へ出たが、何も用がない」主人公は、若いくせに人生に何も期待というものを持たないクズのような人間である。敷居の戸を開けようとして開かないなら表に出なくでもいい、というようなぐうたらなのだ。その彼がふと、敷居の戸を開ける工夫というものに動機を持つ。しかしその微かな動機でさえも無益になる。小さな動機を寒々とした冬の陰影の中に葬って、再びぐうたらの殻の中に彼は寝そべる。――本書より
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