30兆もの細胞がネットワークを形づくる人体は、もっとも身近なワンダーランド。脳の前進基地としての眼、舌をかんで死ぬ時代劇の嘘、美女は頭蓋骨も美しい――など、不思議にみちみちたミクロコスモスに潜入し、その謎を探る。
ボディ・ウォッチング――心臓が左に偏っていることを知っている人は多いが、そのために、左肺が右肺よりも大分小さくなっていることまでは、なかなか気がつかない。その結果は気管支にも影響し、右気管支は左気管支に比べると、太くて短く傾きも急なので異物が誤って気管に入った場合、右の方に入りやすいという知識になると、さらに怪しくなる。私たちが毎朝鏡のなかで覗きこんでいる毛髪にも、あまり知られていない面が少なくない。髪がウエーブしすぎて悩んでいる人もいれば、立ちすぎて困っている人もあるが、このような毛の外観はその断面の形と深い関係がある。つまり、横断画の形が扁平なものほどウエーブしやすく、円形に近いものほどまっすぐになるのである。――本書より
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