“好き”って、どうしようもなくなること――――。 その人は紅絹(もみ)の心の天空で光をはなちはじめた 竜人の告白にとまどう紅絹だったが、彼の意外なやさしさや、想志(そうし)の死に苦しむ本心に触れ、しだいに心ひかれていく。そして3学期、初めて中学校の門をくぐった紅絹は、久しぶりの学校生活にもなじんでいく。 一方、姉の生絹(すずし)は祖父母との折り合いも悪く、紅絹との心の距離も遠くなっていた。逆に近づいていく竜人との距離。しかし二人をつなぐのは余りにもつらい想志の思い出だった。