遺伝子操作によるインターフェロンやインシュリンの製造、人工授精や細胞融合による家畜や穀類の改良、不妊に悩む夫婦に福音をもたらした体外受精技術バイオテクノロジーは、バラ色の未来を与えてくれるかに見えた。しかし、実験の安全性は大丈夫か、ナチスを想起させる。クローンにつながるのでは、との不安をはじめ、不必要な遺伝的操作介入を受けずに生まれてくる権利=DNA不可侵の権利までも叫ばれるようになった。本書は、生物医療や生物技術がどのように進展し、どのような問題を抱えているかを説きつつ、われわれの社会が最も心安まる形での受容の道をさぐる。