老いた母を、息子の立場から暖かく描いた「花の下」、母の老耄を見据えた「月の光」、老母を棺にそっと横たえてやるようなやさしさを以て描いた「雪の面」。――独自の感覚世界に生きる老いた母の姿を、鎮魂の想いをこめつつ、澄明な筆で追求した3部作。ほかに珠玉の短編「墓地とえび芋」を収録。