いつの時代も変わらぬ人間の姿。あなたの心に響く名言・名句が溢れ出る……。
諸橋轍次先生がその晩年に8年の歳月をかけて、中国の古典・漢籍90余種のすべてに改めて目を通し名言・名句を蒐集・読み下し、吟味した名著。
時代の要請に合わせ、文字・判型も拡大しました。
古典は長い歳月を生き抜いてきた文章だが、そのなかの名言は磨き抜かれたことばである。さまざまな場面に、さまざまな人が頭脳からしぼり出した知恵で、緊迫した臨場感がある。名言といわれるものは、その出典時の人たちだけではなく、後世の人が似た立場に立ったとき、かならず思いおこしたのである。中国と古典を共有した日本でも、長いあいだ名言は人びとの指針となり、慰めとなってきた。このように、私たちの先人の息吹きが、名言のうえに、濃厚にかかっている。私たちが名言に接するのは、それをかみしめた歴代のすぐれた英知とふれ合うことでもある。名言に触発され、勇気づけられた決断や行動も多かったであろう。とすれば、名言は歴史と深いかかわりをもつ。時代がどのように変わっても、人間性の底には不変のロゴスがあり、私たちは明日を生きるために、名言を頼りにそれを求めたい。諸橋先生の名著が、そのためのたぐいまれな指南書になるはずである。――陳舜臣
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