社会主義国家の誕生、アメリカの躍進、民主主義の勃興と植民地の相つぐ独立――第1次世界大戦の終結は、同時に欧州中心の歴史の終焉でもあり、全地球規模での多極化と激動の時代の開幕でもあった。本書は、米ソ対立の二極構造をこえて多極化し、イデオロギーと国益が複雑にからみ合い、急速に微妙に流動する現代世界の動向に新しい光をあてた意欲作である。
現代史の構造――ヴァスコ・ダ・ガマ、コロンブス、マジェランらの航海が行なわれてから後には、世界を区分けしたのは常に欧州であり、19世紀末までに、地球全体の支配という世界史上例のない事業を、ごく少数の欧州諸国がやってのけた。こうした欧州の世界支配を打ち砕いたのが2つの世界大戦であり、ワシントンとモスクワが世界を支配するようになった。しかし、それも10年か20年しかもたなかった。世界史の構造がかくも短期間に変容したということは、そのテンポがいかに早められたかを証明している。今日、科学と技術の発達で世界は一体化した反面、世界勢力は分散化しつつある。分散化という点だけに限ってみれば、世界は、ガマやコロンブスやマジェラン以前の世界に似てきたのである。――本書より
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