太陽王ルイ14世が、はなばなしく活躍した時代は、近代社会へと、歴史が転換する激動の時代であった。僧侶・貴族から、その権力を奪い、絶対的統治権を手にした国王は、16-18世紀の300年間に、内に外にと勢力を膨張させ、植民地を通しての東西貿易によって、近代国家への発展の基礎をつくりあげた。また、哲学、文学、美術、音楽、自然科学などの分野で文化の花が開いた。この躍動する時代を、“ヨーロッパとは何か”という視点で把らえ、「転換期の歴史」の鼓動をつかむ。
統一と分裂の中のヨーロッパ――ヨーロッパの歴史は、政治的にみれば統一と分裂の2つの対極のあいだを揺れ動いているともいえる。ここに述べる絶対王政の展開は、まさにそのようなヨーロッパ的分裂化の端的な表現である。諸国家は自国の独自性と独立主権を強く主張し、すべてを自国の利害において計算し行動する。他国の富と繁栄は、自国の貧と衰退と考える。このような極端なヨーロッパの政治的分裂化にもかかわらず、実は、その内部では、絶対王政という政治形態をとって、1国の優位に対して、他国家が同盟して、その専横を阻止するという勢力均衡の原則が働いていた。――本書より
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