石器や象形文字が語る古代人の奔放な活動の足跡――。本書は文明の発祥から、豊穰な文化遺産を残したエジプト・オリエントまで、連綿たる西洋文明の基礎となる古代人たちの知恵と信仰、さらには戦いと平和の歴史を、いきいきとよみがえらせた。ロゼッタストーンの解読、遺跡の発掘などにまつわる興味深いエピソードなどもまじえながら、西洋古代文化の構造と特質を平易に解明した好著である。
新たな時代区分――本書では古代を、始原、古拙、古典の3時代に分けて、文化を総体的にとらえ、歴史の主要な動向をたどってみたいと思う。ここで、歴史のはじめを「原始」といわず、「始原」と呼んだのは、それなりに理由があるからである。「原始」という語は、一般に低級な文化を示すために早くから使用され、遠古の文化に対しても、また、現今の未開文化に対しても適用されてきたため、そこには救いがたい混乱が見られるのである。ひとしく低級ではあっても、この2つの異質の文化を明確に区別することが必要であり、そのためには、しかるべき術語を用意しなければならない。――本書より
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