「<個室>と<まなざし>」既刊・関連作品一覧

<個室>と<まなざし>

遠景に仰ぎ見る垂直の高塔、水平に大陸へ伸びていく鉄道網。すぐれて視覚的な風景の出現は、「国民国家」日本の成立と軌を一にしていた。変容し拡大する「大正」の空間意識を本郷・菊富士ホテルを起点に描き、内向するまなざしの欲望を明るみにだす、気鋭の画期的論考。

【目次】
はじめに 安吾の双眼鏡
第一章 ホテルの記憶
1 下宿屋とホテルの「間」
2 「名義」をめぐる戦い 菊富士前史
3 ホテルと高塔
第二章 シンタックスとしての「鉄道」
1 鉄路の戦略
2 抽象の日本
3 「大正」の外部
第三章 一九一四年・TOKYO
1 東京駅開業式あるいは将軍の帰還
2 東京大正博覧会あるいは二つの石膏像
第四章 寝そべる男たち
1 アパートメントハウスの起源
2 図のある小説
3 小説家の身体
おわりに 再び安吾の双眼鏡

あとがき
索引