「生命科学のための物理化学15講」既刊・関連作品一覧
- 電子あり
物理化学に関する講義が1コマしかない生命系学科向けのテキスト。必ず知っておくべきポイントを簡潔にまとめました。難解な洋書を読みこなせない学生の入門書としても最適。今までわからなかったことが明確にわかる。
本書は生命科学系の学生にとって必要な物理化学についてコンパクトにまとめた教科書です。
なぜ生命科学系なのに物理化学が必要なのか。――それは酵素反応や生体分子間の相互作用などをはじめ,生命体における物質の変化を理解するためには,物質を特定したり性質を解明したりするだけではなく,物理化学的視点からの考察が必要だからです。反応がなぜ起こるのか,どのように起こるのかといった「反応機構」は,物理化学の原理に基づいて考察することができます。
「Part 1 生命と物質」では,生体を構成する分子について,Part 2以降に進むために整理しました。
「Part 2 生命とエネルギー」では,生命を支える物質とエネルギーの間の変換システムを理解するための基礎となる,熱力学について解説しました。
「Part 3 生体内の化学変化」では,生物の活動を支えている化学反応が,生体外で起こる種々の化学反応と同じ原理によって進んでいることを理解するために,化学反応の熱力学的な取り扱いを説明しました。
「Part 4 生体反応と時間」では,生物が時間とともに生きていることを理解するために,時間の概念を導入し,動的な変化の典型である酵素触媒反応の速度論的解析を主に取り上げて解説しました。
「Part 5 生命と光」では,光(電磁波)と生体物質とのかかわりを,量子力学の初歩を用いて解説しました。また,生体分子の分子構造や運動性・反応性を明らかにする分光学の原理と手法についても紹介しました。
「Part 6 生命と膜構造」では,生命体の細胞構造と反応の場として重要な膜構造を取り上げ,物質の輸送,エネルギーの移動について解説し,生物のエネルギー獲得の代表である酸化的リン酸化と光合成の基礎について理解を促します。
コンパクトではありますが,ていねいな解説と演習問題で物理化学の本質が十二分に理解できます。大学院入試試験対策にも最適です。