「アフリカの瞳」既刊・関連作品一覧

  • 電子あり
アフリカの瞳

いまわれわれに生命の重さを問う衝撃作。
国民の10人に1人がHIVに感染。毎日200人の赤ん坊が、HIVに感染したまま生まれてくる国。ここではエイズという絶望すら、白人資本に狙われる。
著者渾身の書下ろし長編小説!

世界のHIV感染者6500万人、その3分の2がアフリカに集中するエイズの現実を真っ向から見据え、それでも希望を求め続ける日本人医師の闘いを描いた、衝撃と感動の長編小説。

「あんた、こんな所に来てもらって」か細い声が答える。診察しようとして作田が驚いたのは、痩せて肋骨の浮き出ている胸でも、ハンガーのように細くなった腕でもなかった。腹のところに赤ん坊が横になっていたからだ。母親に劣らず痩せて、泣く力もなく、時々魚が水面でするように口をパクつかせた――(本文より)