「歩みだそう。 ウギャルと魚と三陸漁師の泣き笑い」既刊・関連作品一覧
小森純、共感!
「3.11に、活動を中心としていた漁港が被害に合い
大切な仲間を失くし、大切に養殖してきた牡蠣も全部流され
途方にくれる中、諦めることなく、仲間のためにも
1からまた活動を始めて頑張っている姿は
私にとっても、ギャルママ代表としても輝いてみえます!
人は諦めたら終わる。
諦めずに頑張ること、改めてそんなこと教わりました!」
上田勝彦・水産庁研究指導課情報技術企画官、感動!
「ウギャルが?魚にホレ込んだ!? 読めば分かるぜ、そのカッコ良さ」
野田武則・釜石市長、御礼!
「被災地に対するライさんの心温まる支援に対し、感謝を表します」
……いつもは東京から電車と車を乗り継いで、釜石までは6時間ほど。岩手に入ると、山道を上って下って川を渡って、見渡す限りの大自然。山・川・海をつたう空気がおいしく、心地よく感じる。
自然がキラキラ。ウギャルの故郷、釜石・根浜海岸に着くと、眼前に広がる海、背後の山、そして漁師の健ちゃんや健ちゃんママたちが、笑顔で迎えてくれる。降り注ぐ太陽光は、そんな私たちの再会を喜んでいるかのように、いつでも浜辺のすべてをキツ~く照らし続ける……。
しかし、この時、釜石へ入って現実に引き戻された私の前に広がった光景は、本当に無残でした。すべてがめちゃくちゃ。
「夢なら覚めて」
いつもとまったく違う根浜海岸に着いた時は、涙があふれてしばらく止まりませんでした。ただ呆然と、目の前の変わり果てた惨状を少しずつ受け入れるように、がれきの合間を歩き、ただ、眺めていました。
いつもと違う海岸には、疲れきった顔で、しかし、いつもの照れ笑いを浮かべた健ちゃんがいました。
私は、ゆっくりと近付いて「生きてて良かった」とポツリ。
そんな私に健ちゃんは、「ウギャルのカキ、守れなかった。ごめんね」と声を掛けてくれたんです。
驚いた私は、「なに言ってるの? 生きていてくれているだけで十分なのに……」。
「ウギャルのカキなんて今はどうでもいい。みんなが無事だったら、それで十分」と、泣き声交じりで返しました。
(本文より)