「スポーツ名勝負物語」既刊・関連作品一覧
奇跡のプレー!感動の瞬間!
野茂英雄、伊達公子、古賀稔彦、勇利アルバチャコフ、松井秀喜、神戸製鋼、日本サッカー五輪代表……。
優勝を賭けた一投一打、奇跡のゴール、回生のトライ、チャンピオンを射止めたパンチ――野茂、松井、伊達、古賀、勇利、イチローなど名選手たちの、勝負を分けた至高の瞬間を活写する。
[主砲の責任]――私の脳裡に、ひとつの風景が甦った。この試合からちょうど1年前の日本シリーズ。ヤクルト対オリックスの第1戦。ブロス――古田のスワローズバッテリーは、イチローに対し、徹底した内角攻めを行い、彼の“振り子打法”を崩してしまった。負けず嫌いのイチローは力で牛耳られたことが悔しくて仕方ない。これを機にアウトコースを捨て、インサイドのストレート1本に狙いをしぼった。力での復讐を試みたのである。そして最終戦、ついにリベンジを果たす。ブロスのインハイのストレートを右中間スタンドに狙い打ったのだ。負けっぱなしに終わらなかったところにイチローの非凡さがうかがえた。しかし、イチローはシリーズを通して活躍することができなかった。当然だろう。復讐したい一心でゲームに臨んでいるわけだから、おこぼれのようなヒットなど欲しくもない。まったく同じことが松井にも言えた。――本書より