「源氏物語=性の迷宮へ」既刊・関連作品一覧

源氏物語=性の迷宮へ

絢爛たる光源氏の物語を終えた後に、なぜ「続篇」宇治十帖が必要とされたのか。「性」の物語として読むとき、物語の隠された欲望が明らかになる。人間愛・死体愛・マゾヒズム――。「宇治」を持つことにより、「源氏」は異形の物語へと変貌する。古典文学の金字塔をラディカルに読み変える、「源氏物語」のポストモダン。

【目次】
序章 薫/匂宮 差異への欲望
1 「性の物語」としての『源氏物語』
2 同化への欲望
3 差異なき異化
第一章 光源氏の物語から宇治十帖へ
1 光源氏の物語 第一部 闇を孕んだ栄華
2 光源氏の物語 第二部 頽落する世界
3 宇治十帖 光源氏世界の脱構築
第二章 薫と大君 不能的愛の快楽
1 薫/大君・匂宮/中の君 四項関係の意味するもの
2 大君/中の君 互換的な愛人たち
3 大君のマゾヒズム
4 欲望喚起装置としての障害
5 不能的愛のエロス
第三章 さかしまの主人公 浮舟登場
1 不能的密通
2 浮舟=窮極の媒体
3 四項関係再び 破局の予感
4 排除と暴力の構造
5 溶解する薫
第四章 光源氏時代への挽歌 匂宮三帖論
1 周縁化する世界
2 斜陽貴族の美学 「竹河」巻
3 語り手は誰か
第五章 社会の欲望媒介装置=浮舟 交換される欲望
1 東国受領階級の娘 より下層に、より周縁に
2 常陸介家をめぐる欲望
3 パラサイト 仲人と弁の尼
第六章 〈情報〉としての浮舟 欲望の沸騰点
1 現れた女の身体
2 横河僧都一族の人々
3 消えた女の身体
4 最後の浮舟
5 「物語」の終わるとき 極北としての宇治十帖

あとがき