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誉れの赤

 戦国最強の部隊――赤備え。戦場に朱の具足をまとった集団が現れただけで、敵兵は畏れ、逃げ惑い、敗れていった。その強さに憧れる地侍の成島勘五郎と、幼なじみの農民飯沼藤太は、武田信玄配下の赤備えに加わり、武功を立てる。武田家が織田・徳川連合軍に敗れた後、生き残った勘五郎は徳川に主家を変え、〈赤鬼〉井伊直政のもとで天下取りを目指す。〈赤〉の遺伝子を受け継いだ戦国最後の武士の生き様を描いた長編小説。


「赤備えは戦場の華なり。人に先んじて敵に当たり、比類なき手柄を上げ、そして……無事に生きて帰る者なり」

 戦国最強の部隊――赤備え。戦場で最も目立つ朱の具足をまとった集団が現れただけで、敵兵は畏れ、逃げ惑い、敗れていった。「天下取りの部隊」として諸国に轟いたその強さに憧れる甲斐の地侍の成島勘五郎と、幼なじみの農民飯沼藤太は、武田信玄配下の赤備えを率いる山縣隊に加わり、武功を立てる。武田家が鉄砲を主戦力とする織田・徳川連合軍に長篠の戦いで敗れた後、生き残った勘五郎は徳川に主家を変え、武田の赤備えを引き継いだ、〈赤鬼〉井伊直政のもとで天下取りを目指す。
 鉄砲の出現によって戦国が終わる時、一人の下級武士に何ができるのか。〈赤〉の遺伝子を受け継いだ最後の武士の生き様を描いた長編小説。