「無常を生きる」既刊・関連作品一覧

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無常を生きる

無常のこの世を、いかに明るく生きるか。寂聴尼があなたにおくる、切なる愛と祈りのメッセージ。

寂庵には、この節また急に悩みを訴えに来る人が多くなった。……私はただ全身を耳にして、心を傾けて、それぞれの悲しみを聴きとるばかりだった。自然に涙があふれてもくる。言葉は虚しいと思う。悲しみや苦しみを少しでも分かちあうことで、胸が悲しみで塞っている人の心に少しでもすき間が生れ、風が通ってほしいと思うばかりだった。――(本文より)