「現代アイヌ文学作品選」既刊・関連作品一覧

現代アイヌ文学作品選

言葉と文化への抑圧に抗しアイヌの魂を謳い上げた現代の叙事詩人(ユーカラクル)たち

口承文芸の精華・ユーカラを生み出したアイヌ民族は、近代以降、文化や言葉を抑圧され、長く沈黙を強いられた。そんな中から、神謡の日本語訳に若い命を燃やした知里幸恵、短歌にアイヌの苦悩と誇りを籠めたバチェラー八重子や違星北斗、民族と自己のアイデンティティを追求した鳩沢佐美夫、アイヌ語の弔詞に民族の世界観を凝縮した萱野茂などが現れた。現代アイヌ文学を代表する9人の作品を精選する画期的なアンソロジー。

川村湊
この本は、アイヌ民族の出自であることを明らかにしている筆者たちの作品を、文芸的なジャンルにこだわらず集めたものだ。(略)バチェラー八重子や知里幸恵の孤立した営みが、それぞれ違星北斗や森竹竹市が、また知里真志保が、その精神を受け継いだように、点は線となり、線は太い絆となって、「現代アイヌ文学」が成立したと私は考える。この本は、その初めてのアンソロジーの試みである。――<「解説」より>