「チェーン・ポイズン」既刊・関連作品一覧

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チェーン・ポイズン

●講談社創業100周年記念出版 「書き下ろし100冊」第1弾!

あと1年。死ぬ日を待ち続ける。
それだけが私の希望――。

かりそめに生きることは、もうできない。選んだのは「死」。
不思議な自殺の連鎖を調べる記者。そこに至るただひとつの繋がり。
「生」の意味を現代に投げかける、文句なしの最高傑作!


誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。
死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、
謎の人物からのささやき。
「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?
1年頑張ったご褒美を差し上げます」
それは決して悪い取り引きではないように思われた――。

●新境地を開いた驚愕のミステリー

【著者からのメッセージ】
講談社100周年、おめでとさんです、ということで気張ったつもりはないのですが、この『チェーン・ポイズン』は、自分が今まで書いてきたものと比べると、かなり成り立ちを異にしました。
もともと、僕は何も考えずに小説を書き始めます。それがどんなものになるのかはもちろん、書き上がるのかどうかさえ、本人にもわからない。それがいつもの僕のやり方です。実際、僕のパソコンには、書き上げられることのなかった小説の端くれたちが、山のように積もっています。とはいえ、今まで小説を書き上げる際には、ある共通点がありました。それはいかにして「自分らしさ」を消していくのかということです。もちろん、それを書いた人間が同じである以上、そこにはどうしても「その人らしさ」が匂います。僕の場合、それがかなり強く匂うほうの書き手だと思います。ですので、その匂いを放っておくと、読者に既視感を与えてしまう。その危惧が常にあります。自分の枠からはみ出すことは難しくとも、それでもどうやってその匂いを消していけるか。読んでくれた人に「新作」を読んだ、という満足感をどれだけ感じてもらうことができるか。それがこれまで小説を書いていく上で、一つのテーマでもありました。
ですが、この『チェーン・ポイズン』に関しては、書き始めた当初から、これまでと違う匂いがありました。今までの自分とは違う何かが出てきている